円錐角膜用特殊レンズで、手術の時期を遅らせる

円錐角膜という病気は、今現在ではメガネやソフトコンタクトレンズでは視力を上げることはできず、ハードコンタクトレンズでしか良好な視力が得られません。

角膜が変形しているため、やわらかいソフトコンタクトレンズでは屈折力を上げるようなきれいな球面を形成することができないからです。

しかし最近は、いくつかの特殊レンズが日本でも手に入るようになってきました。

スクレラルレンズ(強膜レンズや強角膜レンズと言います)、円錐角膜用ソフトコンタクトレンズ、ハイブリッドレンズ(中心がハードコンタクトレンズで、周辺部がソフトコンタクトレンズ)などがそうです。

もちろんRGPレンズ(一般的なハードコンタクトレンズ)の中にも円錐角膜用特殊レンズがあります。

これらを利用することで、手術に至るまでの期間を延ばすことができるという報告(Smiddy WE et al 1988 Keratoconus-contact lens or keratoplasty? Ophthalomology;95,487-92)もあり、ICR(角膜リング)ICL(有水晶体眼内レンズ)PKP(角膜移植)などをすぐに考えなくても、まだまだアプローチができるということを知っておいていただきたいです。

素材の開発、レンズ切削の進歩、角膜形状計測の進歩などがこの医療技術を支えているのです。

円錐角膜の患者さんはレンズが落ちやすかったり、痛かったりしてレンズの装用をあきらめてしまうことも多いのですが、当院ではこれらのレンズを駆使することで視力の維持を模索しています。